「里山資本主義」、耳慣れ言葉かもしれませんが、皆さんはこの言葉聞いたことがありますか?私がこの言葉を聞いたのは確か2014年だったと思います。当時はつくば市役所に出向中で、またその期間「一新塾」という政策学校に通い、社会起業家や政治家などの講義を定期的に聞いていました。
「一新塾」では著名な方々のお話しを聞く機会があったのですが、その講師の1人が「デフレの正体」の著者である藻谷浩介氏でした。講義では「デフレの正体」の本に書かれている内容の解説が主でしたが、特に印象に残ったのは人口減少社会は必ずしも否定的な事ばかりではないということでした。
またその後も、藻谷さんの講演には数回参加する機会があり彼の2013年刊行の「里山資本主義」の本の概要についても聞く機会がありました。
「里山資本主義」のコンセプトは、現在の社会制度の基盤、メインエンジンである資本主義にトラブルが生じた際に、サブエンジンとして、生活を支える仕組みや制度のこと。藻谷さんは里山資本主義を以下のように説明しています。
「里山資本主義とは、お金の循環がすべてを決するという前提で構築された「マネー資本主義」の経済システムの横に、こっそりと、お金に依存しないサブシステムを再構築しようという考え方だ。お金が乏しくなっても水と食料と燃料が手に入り続ける仕組み、いわば安心安全のネットワークを、予め用意しておこうという実践だ」(里山資本主義)
本では東日本大震災で露呈した資本主義の脆弱な側面について書かれていました。私個人としても、その際の体験がありますので、このようなサブシステムの必要性を強く感じています。
今社会を襲っている新型コロナウィルスは全世界規模での災害の様相を呈しています。そして局地的な自然災害とは比べものにならないぐらいの被害が起こりつつあります。日常生活物資の不足(マスクや消毒液以外は)という極端な状態には日本は陥っていませんが、そのような状況の発生が懸念される状況でもあります。
大規模災害や今回の例外的なコロナウイルスは社会インフラにダメージを与え、資本主義社会に基づく生活を麻痺させてしまうことがあります。高度に発展してきたがゆえに、資本主義は脆弱な部分があり、何かしらのバックアップ制度の必要性を感じずにはいられません。
「里山資本主義」ではバックアップのシステムとして特に重要なリソースである、水、食糧、燃料を確保するような提言を企業レベル、個人レベルに対してしています。
個人レベルで提案されている内容がいくつかあるので、実際我が家で取り組んでいる事を簡単に紹介してみますね。
水:災害時の備えとして、160リットル分の飲料水を貯蔵。生活用水も一定量タンクにためてあります。あとは現在進行形ですが、自治体における生活用水用の井戸の導入に取り組んでいます。
食糧:たいした量ではありませんが、家庭菜園を行っています。また避難用の72時間キットの備え、またローテーションによる食料貯蔵を行っています。
燃料:冬は薪ストーブにて暖をとるため、薪が常備してあります。またロケットストーブという薪やペレットですぐに火をおこせる器具も作成してあります。
というたいしたものではありませんが、それでもこれぐらいの備えがあればもし災害に見舞われても少しは安心だという気持ちがあります。
今回のコロナは通常の自然災害の影響をはるかに超える影響をもたらしていますが、「里山資本主義」的なサブシステムについて考える機会でもあるといえます。また「里山資本主義」は比較社会の是正、拝金社会の是正というウェルビーイングにつながるコンセプトもたくさん触れています。そして長期的な日本の将来について悲観せずに希望をもてる内容でもあります。是非多くの方に触れていいただきたいコンセプトなので、興味のある方は是非読んでみてくださいね。