先日地元の中学校の防災訓練にて、防災士として防災について話をする機会がありました。
子ども達に対して何かしらのメッセージを伝えたい、と思う大人の方はたくさんいるのではないでしょうか。私には小さいものから大きいものまでたくさん夢がありますが、学校で話しをするというのは夢の一つでした。ですので地元の中学校で防災についての話しの依頼があったときには、即場に引き受けました。
このようにはりきって依頼を受けたはいいものの、防災についてどのように中学生に話すかについてはずいぶん考えました。その結果、以下の2点を含めることにしました。
- 防災は人生の数ある中のリスクマネジメントの一つであるということ
- ポジティブ心理学の啓発の機会とも捉え、自然災害のネガティブな側面だけでなく、ポジティブな側面も伝えること
まずリスクマネジメントについてですが、自然災害というのは、人生の中で起こりうる危機的なイベントの一つと考えることができます。首都直下地震や南海トラフ地震は、今の中学生が生きている間に発生する確率が高いので、できる限りの準備をして備えなくてはいけません。しかしあくまでも高い確率が分かったいるので、いつ、どこで発生するかは分かりません。そういう意味では非常に不確実性のあるリスクということになります。
中学生の立場になって考えると、自然災害と似たような不確実なものが実はたくさんあります。災害の発生もさることながら、世界環境、政治環境、教育環境、労働環境など。
このような不確実な世の中を彼らはこれからを生きていかないといけないのです。
しかし未来が不確実だからといって悲観視する必要はなく、むしろ前向きに、楽観視する必要があります。不確実性がある一方で、さまさまな機会やチャンスに満ち溢れているからです。リスク要因に関しては、できる限りの備えをすること。これは自然災害以外にもすべて当てはまることです。そのような備えをすると機会を最大限活かすことができるというものです。
次はポジティブ心理学の観点から自然災害のポジティブな側面について。そもそも自然災害にポジティブな側面なんであるのでしょうか。ポジティブな要素は、日本が自然から恩恵を受けている様々なことではないでしょうか。この日本の豊で独特な自然は日本列島の形成と密なつながりがあります。その特質上(プレートが4つもある)、地震が起こりやすくなってはいますが、一方で、たくさんの山々があったり、温泉があったりとたくさんの自然からの恵があります。
そしてこの豊かで特殊な自然かは、経済的には豊かな観光資源となっています。このように、自然からのメリットの側面といのは確かに存在するのです。
これらのメッセージを入れながら、肝心の防災については、お決まりの自助、公助、共助、の大切さ、地震のメカニズム、最近の自然災害の事例などを話しました。結果的には防災をリスクマネジメントの一環として考えること、また大自然のポジティブな側面とネガティブな側面の両方を見ることといったことを含めた、ありきたりではない防災講座ができたのではないかと思います。
中学生に対しては少し難し過ぎる内容だったかもしれませんが、中学生はもう大人の側面もあり、このような重要なテーマについては理解ができ、また自分自身でよく考えれる年齢だと思っています。
実際にどのように中学生が話を受け止めてくれたかは分かりませんが、伝えたかったメッセージが少しでも伝わったのであれば、成功だったのかと思います。また自分にとって大勢の中学生の前で話をするのは、初めての体験でしたが、たくさんのことを学ぶことができ自分自身のよい経験になりました。
またこのような機会があるかどうかは分かりませんが、もしまたこのような機会があれば積極的に取り組んでいこうと思います。