今回は「未来の年表2」の感想です。未来の年表はベストセラーにもなったので読まれた方も多いと思います。前作で著者の河合さんは、人口減少社会は静かなる有事で国難である警笛を鳴らしておられました。私は藻谷浩介さんの「デフレの正体」を読んだり、彼の講演会に数回参加したことがあるので、人口減少社会という現実とそれに伴う課題を長年認識しているつもりです。前作の「未来の年表」は日本の人口動態の変化による影響を深く掘り下げており、とても勉強になりました。その続編ということで期待してこの本を読みました。
この人口減少社会というのは、間違いなく国難に値する現象ではあるますが、じわじわとやってくるので、危機感を持つのが難しいのが特徴です。確かに自分でも、日常生活を送っていると、そんな国難が訪れているとう感覚がどうしても薄れてしまいがちです。今回「未来の年表2」を読んで改めて危機的な状況を認識するとともに、社会への影響をより具体的にイメージすることができました。以下読んでみての気づきをいくつか綴ってみます。
○東京でも公共交通の遅延が日常化する
都内でも高齢人口が増えると、電車の乗り降りがスムーズにできずに、電車の離発着にも影響が出てしまうとのこと。日本の時間どおりの鉄道システムはすごいですが、すこしでもダイヤが乱れると大量の滞留者が出てしまうという脆弱性もあります。近い将来はダイヤ通り走る公共交通は現実的ではないのかもしれません。
○災害が激甚化する
これは今まであまり考えたことがありませんでした。放置された山林には、間伐されなくなった森林が大量に生み出され、そのような森林は下草が育たず土壌が貧弱になる。短時間の大雨での表層崩壊のリスクが増すとのこと。西日本7月豪雨の前にこの本は出版されていますが、7月豪雨での甚大な被害ももしかしたらこのような点に起因している部分もあるかもしれないと思いました。
○人口現象社会というテーマを見過ごしている政治かはその資質を問うべき
序文にこのように書かれていて、大変もっともな主張だと思います。国政レベルだけでは、なく県、市のレベルでもこの認識は必要だと思います。しかし県や市レベルでの実情や、いかに人口を増やすかという議論がほとんどです。この点はパラダイム・シフトが必要だと改めて思いました。
後半には個人でも取り組めることがいくつか紹介されていました。その中にあったのは、「1人で2つ以上の仕事をこなす」ということ。これは今まさに取り組んでいる最中で、年内に有料のセミナーを行うべく準備中です。小さいことかもしれませんが、意味の大きいことだと思っています。
ということで簡単な「未来の年表2」の感想でした。できるだけ多くの方にこの本を手をとってもらって、このトピックについてもっと活発な議論が様々な場面で起こることを期待しています。