ウェルビーイングの研究者とは違いますが、好きな著者にダニエル・ピンクという方がいます。今までも「ハイコンセプト」、「モティベーション3.0」などのインパクトのある作品を多く発表している方です。
その彼の新刊が「WHEN:The Sientific Secrets of Perfect Timing」
直訳すると「いつ行うか、科学で明らかになった完璧なタイミングの秘密」みたいな感じでしょうか。
彼の作品は常に科学的なデータを元に論じられているのですが、好奇心旺盛の方のようであまりカテゴリーは決まっていません。今回は「WHEN」ということで時(とき)が主題になっていました。クロノタイプとか新鮮で、興味深い内容満載でしたが、ウェルービーイングについて直接触れられていた部分のみ紹介しますね。
ちなみに彼の作品がユニークなのは、引用されている論文や研究結果が最新のもので、他の作品とかぶりが少ないということです。ウェルビーイング関連の本を読むと、同じ研究結果が引用されていることがよくありますからね。
さて「Midpoint:中間」という章でウェルビーイングについて、以下のグラフの説明がありました。
(Daniel Pink "WHEN")
Midpoint:中間、の性質は何事もslump(落ち込む)傾向にあり、人間のウェルビーイングにも当てはまるとのこと。
72カ国で5000人を対象に年代別のウェルビーイングの値を測る研究を行ったところ、どの国でも中年期(40~50歳)で落ち込むこという結果になったとのこと。
理由としては、キャリア、家族、経済状況について、人生で思い描いていた状況を達成できなかった現実と向き合うからがっかりする、という説明が一つ。もう一つは単純に生物学的な現象とのこと。どのようにチンパンジーのウェルビーイングを計測したか分かりませんが、全く同じ傾向がチンパンジーにもみられたとのことです。
年齢とウェルビーイングについては、確かセリグマンは、年齢とともにウェルビーイングは増加していく、と言っていたと思います。中年期に下がる時期があるということまで言及がなかったと思いますが、ダニエル・ピンクによるとはっきりとその傾向が見てとれた、ということですね。
では、この結果は何を意味をするのでしょうか。
中年期の方は、何もしないと、幸福度は自然と落ち込んでしまうので、ウェルビーイングを向上する術を見につけて、どんどん実施しなくてはならない、ということにならないでしょうか。
繰り返しているようにウェルビーイング心理学では、個人の自発的な努力で様々な方法でウェルビーイング(幸福度)が上げれることが実証されています。
人口動態的にも日本で一番人口の多いこの世代。一番ウェルビーイング心理学を必要としている世代と言えそうですね。