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書評。タル・ベン・シャハーの「The Joy of Leadership」

 「Big Potential」の後(レビューはこちらから)、タル・ベン・シャハーの新刊「The Joy of Leadership」を読み(聴き?)始めました。序章を読んだだけですが、これはよい本だと思ったので、テーマについての感想を先にシェアしたいと思います。

 

 まず題名から分かるように、今回の作品のメインのオーディエンスは企業や組織におけるリーダーやマネジメントに対して。ですのでカテゴリー的にはビジネス本となるでしょうか。

 

 さてまず簡単にビジネス界におけるウェルビーイング論のポジションのおさらいです。まず人材開発分野においては、10年前ぐらいからストレンクス・ファインダー(強みを活かす)というムーブメントがおこり、そしてこのコンセプトはかなりグローバル企業においては浸透したように思います。

そしてGoogleが導入したこと有名になったでマインドフルネスもビジネス界で普及しつつあるようです。興味深いことに、これらの2つはウェルビーイングの要素なわけで、少しずつ個人のウェルビーイングの要素がビジネス界にも応用されてきているというのが現状のように感じています。

 

 そんな中、ついにウェルビーイングが企業の競争の源泉となり、そして成功する企業とそうでない企業の決定的な違いだ、という主張が出始めました。

 

 それがこの「The Joy of Leadership」です。個人のウェルビーイング(文中ではpersonal flourishing)=効果的なリーダー(effective leader)という主張を展開した初めてのメジャータイトルのように思います。

 

 またこのタイトルは「Happier」で有名なベン・シャハーとAugusという方の共著となっています。このAugus氏はマッキンゼーの組織・人材開発を手がけていたそうです。

長年マッキンゼーが抱えている経営課題は、たとえ企業に優れた戦略があったとしても、それを実行に移せる効果的なリーダーが不足しているということなのだそうです。

そしてこの新しい時代にマッチしたリーダー像の行き着いた先がpersonal flourishingだったということ。これはビジネス側からのアプローチで説得力があります。

 

 ウェルビーイング論が提示するパラダイムシフトとして、成功しているから幸せなのではなく、幸せだから成功している、というコンセプトがありました。このコンセプトは個人レベルで語られることが多かったわけですが、今や十分なエビデンスと共についに組織レベルに応用されるようになったということでしょう。すなわち、組織は成功しているから幸せなのではなく、幸せだから成功するということになるのです。これは画期的なコンセプトではないでしょうか。

 

 さて、では肝心のどのようにしたらこのようなリーダー(文中では10X Leader)になれるかということについては、「SHARP」というフレームワークで説明がされています。

文中でも、これらの要素は新しいものではない、としっかり言っていたところに逆に好感が持てましたが、確かにウェルビーイング論ではすでに語られている内容がほとんどで、以下のようになっています。

 

S(Strength):組織において強みを活かすこと。

H(Health):体と心の健康を保ち、高い活動エネルギーを保持すること

A(Absorption):少しAbsorption(吸収)のニュアンスがつかめませんが、マインドフルネスについて

R(Relation):良好な人間関係について

P(Purpose):仕事や人生の意義について

 

 これらはすでにいろいろな本で読んだので、おさらいぐらいでさっと聴けばよいかなと思っています。このまでは第2部でそして第3部は、このような組織にどのように変化するかについて書かれています。ここは非常に興味がある部分ですね。最後まで聴いたら、この部分については感想を書きたいと思います。

 

 ざっと序章を読んだ感想としては、ついにウェルビーイングはリーダー論や組織論にまで進出したか、というワクワクした気持ちです。欧米ではかなりこの部分の理解が進んでいて、組織、会社、社会、教育分野への浸透が進みつつあります。日本ではまだまだ小さすぎるウェルビーイングのムーブメントに危惧を覚えてしまいます。そしてこのムーブメントの一翼を担わなくてはと思った次第でした。

 

 では、全部聴き終わったら、またコメントをアップしますね。